[聴く器官の教育]

現代では私たちの聴く耳は非常に鈍感になっています。特に、音楽に関わる人にとって「耳を傾ける」(内面の響きに耳を傾ける)事が大切です。

内面の響きに耳を傾けることは、聴こえないものを聴こえるようにすることであり、私たちを傾聴へと導いてくれます。それはまさしく、アウディオペーデの目的である「私たちの心の耳を養成する」ことに他なりません。

このような理念のもと、一般社団法人アウディオペーデでは、アントロポゾフィー(R.シュタイナーの理念)を背景とした芸術教育・療法を目的とした活動および、講座、養成・研修をしています。

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現代人の多くは、「健康と病気」に対して、非常な関心と不安を抱えて生きています。 アントロポゾフィーの認識から生まれた多くの仕事は、今日の物質主義が抱えている諸問題や、息づまった病的な社会現象をその理念のもとに治療していこうとしています。



私達が外界から経験するものは、私達の感覚全てのお蔭なのですが、このことを深く考えてみる必要があります。

小さな子供の場合、外界との出会いは無意識に生じています(だからこそ深刻です)。大人の場合は、それほど無意識には結びついてはいません。
人間自身、進化の過程に於て、自分を意識化するためには、外界から距離を保ち、段々に内的になり、外界と対峙してきました。



しかし現代では、この距離はあまりにも大きく、しかもその感覚は摺り減っています。特に都会の生活では、絶え間なくとび込んでくる騒音、どぎつい秩序のない色彩等・・・。
私達の感覚を摺り減らしていくものに囲まれています。この摺り減った感覚が少なからず心を蝕んでいくのは、当然だといえるでしょう。

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今日私達は、再び生き生きとした感覚をとり戻す努力が必要なのです。その努力とは芸術行為です。この行為は、外から受け取った印象を体験と結ぶことができるのです。

外界からの印象は、内界へ働きかけられ、新たな創造的なものへと変容します。

それは魂の働きです。

私達がとりわけ、音楽と関わる時、私達の内なる響きに耳を傾け、聞いた音を再び思い出して、構築することができます。

それは、聞こえないものを、聞こえるものにすることであり、創造行為そのものです。

そして「聴く」ことを修練することで、様々な音と、自ら創造的に交わることができるのです。

このように修練された魂の耳は、単なる悟性的判断の「聞く」から、「耳を傾ける」という何のこだわりも持たない「傾聴」へと導きます。この「傾聴」こそ、「自らを開く」「対象を受容する」「信頼」という感情につながっていくのです。

この「聴く」器官の養成は、人の前に立つ教師として、療法士として、また自らの修練のためにも、欠くことの出来ない大切な要件となります。


「聴く」行為の背後には、自己治癒力も働いています。

アウディオペーデは、現代の人間の聴覚のために、また、人間の成り立ちと深い関わりを持つ新しい音楽の流れを未来へとつなげていこうとする道なのです。




このコースの始まりは、日本で長らくヴァルドルフ音楽教育に携わってきた教師と、ヴィッテン教員養成所の音楽講師ラインヒルド・ブラス女史とのインパルスによるものでした。
2011年最初の受講生と共に、「聴く器官」の養成が始まりました。


アウディオペーデでは以下の事業を行なっています。

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